
はじめに
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れている企業にとって、突然労働者と連絡が取れなくなる、いわゆる「失踪」は大きなリスクのひとつです。今回は、そのような事態が発生した場合に会社が被るダメージと、速やかに取るべき対応について解説します。
企業に及ぶ主なダメージ
1. 人員不足による業務への影響
即戦力として現場で活躍している特定技能外国人がいなくなると、そのまま現場の人手不足につながります。特に慢性的に人材不足の業種では、業務の停滞や納期遅延に直結します。
2. コスト面での損失
採用費用や登録支援機関への委託料、教育・研修にかけた投資が無駄になるリスクがあります。
3. 行政上のリスク
企業には、失踪が発覚した際に出入国在留管理庁へ報告する義務があります。報告を怠れば、今後の受入れに影響が及ぶ可能性があります。
4. 信頼関係の低下
取引先や地域社会、さらには今後の外国人採用に悪影響を及ぼすリスクがあります。
会社が取るべき対応
1. 速やかな事実確認
本人の居住先や同僚、登録支援機関を通じて連絡を試み、正確な状況を把握します。
2. 行政機関への報告
所在不明と判断できる場合は、出入国在留管理庁へ「所在不明届」を提出し、登録支援機関にも共有します。
3. 業務への影響を最小限に
派遣や短期雇用など代替手段を検討し、業務への影響を最小限に抑えます。
4. 再発防止策の検討
労働環境や生活支援の体制を見直し、相談窓口の設置や支援強化で再発防止につなげます。
登録支援機関との連携方法
特定技能外国人を受け入れる際、登録支援機関は生活面や就労環境の支援を行う重要なパートナーです。
連携がうまくいかないと、外国人材の不安が蓄積し、最悪の場合「失踪」につながるリスクがあります。
企業が心がけるべき連携ポイントは以下のとおりです。
- 定期的な情報共有
勤務状況、出欠、生活面の悩みなどを登録支援機関と共有し、早期に兆候をつかむ。 - 三者面談の実施
企業・登録支援機関・本人で定期的に面談を行い、職場環境や生活環境について確認する。 - 緊急時の連絡体制の整備
失踪の兆候があれば、企業と登録支援機関が即時連携できる仕組みを作っておく。
失踪防止の具体例
外国人材の失踪には「孤立」「労働条件への不満」「生活上のトラブル」などが背景にあるケースが多いといわれています。
以下の取り組みは失踪防止に有効です。
- 定期的なメンタルサポート
日本語が不自由な外国人材は、精神的なストレスを抱えやすいため、定期的に相談の場を設ける。 - 生活面の支援強化
住居の手配、銀行口座開設、病院の利用など、日常生活での不安をサポートする。 - 多文化交流の促進
職場の仲間や地域住民との交流イベントを通じて孤立感を減らし、安心して生活できる環境を作る。 - 労働条件の透明性確保
契約内容や給与体系を本人が理解できる言語で説明し、トラブルを未然に防ぐ。
事例紹介
事例①:連絡が途絶えたが早期対応で防止できたケース
製造業A社では、ある外国人労働者が数日間欠勤し、連絡がつかない状況になりました。
登録支援機関と連携し、同僚や居住先を確認したところ、生活費のやりくりが難しく、精神的に不安定になっていたことが判明。すぐに生活相談と給与前払いの制度を案内し、継続して勤務することができました。
👉 早期の情報共有と支援が「失踪未遂」を防いだ好例です。
事例②:生活支援不足が原因で失踪につながったケース
介護業B社では、日本語が苦手な外国人材に対して生活支援が十分に行われておらず、銀行口座開設や役所での手続きに大きなストレスを抱えていました。会社側は業務面だけを重視し、日常生活の不安を放置してしまった結果、本人は所在不明となり失踪扱いに。
👉 生活面の支援不足が失踪につながる典型的な事例です。
事例③:多文化交流が定着を促進したケース
建設業C社では、受け入れた特定技能外国人が地域で孤立しないよう、定期的に日本人社員と外国人社員の交流イベントを実施しました。さらに、生活上の悩みを共有できる相談窓口を設けた結果、従業員の定着率が大幅に向上しました。
👉 「働く」だけでなく「生活する」環境づくりが定着に直結することを示しています。
まとめ
特定技能外国人の失踪は企業に大きなダメージをもたらしますが、登録支援機関との密な連携や日常的なサポート、そして実際の事例から学ぶことで防止につなげることができます。
行政書士事務所RTSでは、特定技能外国人の受入れから在留管理、トラブル対応、防止策の構築まで一貫してサポートしています。外国人材の活用に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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